聖書の歴史 D-3 聖書の歴史 目次 

《 異端がはびこっていたエジプト 》

フロイド・N・ジョーンズ博士

● 一つの場所だけに由来する証言
 よく知られていることですが、少数派の大文字写本(バチカン写本・シナイ写本など)は、エジプトのアレクサンドリアからのみ生じたパピルス紙あるいは羊皮紙が用いられました。注1
 問題は、こうです。
 一つの場所だけに由来する証言に従うのは、慎重なことなのでしょうか?
 最初の(原文の)『読み方』が一つの地域だけで生き残ったとするのは、合理的でしょうか?

 それとは対照的に、ギリシャ語の新約聖書本文TR(テクストゥス・レセプトゥス)は、ギリシャ、小アジア、コンスタンチノープル、シリア、アフリカ、ガリア地方(フランスとベルギー)、南部イタリア、シチリア島(イタリア)、イギリス、アイルランドなど各地に由来する小文字写本から成り立っています。

 そもそもエジプトのアレクサンドリアには、新約聖書の最初の自筆原稿は全くありませんでした。
 したがって、ローマ、ギリシャ、小アジア、パレスチナなどの地域のほうが、エジプトよりも、真の聖なる聖書本文を所有することでは、よりよいスタートを切ったはずです。注2
 近年発見されたパピルス紙やバチカン写本やシナイ写本などの文書は、すべてエジプトから生じたものなのです。注3

● 多くの異端のはびこっていたエジプト
 キリスト教の初めの世紀、エジプトは多くの異端がはびこっている地でした。

ヒルズは、ボドゥマー・パピルス紙写本が、グノーシス派の異端者たちにより、一部が不正に変更されたことを報告しています。注4

 それと同じことは、バチカン写本およびシナイ写本にも当てはまります。注5

バーゴンもミラーも、バチカン写本およびシナイ写本にこのグノーシス派の痕跡があることを1896年に指摘し、彼らの指摘は今もなお論駁されていません。

バーゴンは、その腐敗(改ざん)の根源として、悪名高いグノーシス派の教師、バレンティヌス(紀元150年。エジプト・アレクサンドリア出身)の名前を挙げました。注6

初期のエジプトの「教会」には、異端的な性格さえありました。注7

 こうして、エジプトから生じた大文字写本異端的な読み方が散布されていたのも、驚くべきことではないのです。

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注1)Pickering,"The Identity of the New Testament Text",pp.116-117
注2)同書 p.105
注3)Hills,"The King James Version Defended",p.134
注4)Hills,"Believing Bible Study",p.78
注5)同書 p.77
注6)John W.Burgon,"The Causes of the Corruption of the Traditional Text of the Holy Gospels",
    pp.215-218
注7)Hills,"The King James Version Defended",p.134


《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》  

さらに深い理解のために(英語)
フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書
→ "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.157~, p.163[PDF]

聖書に関わるサタンの策略などについて(David Blunt)
Which Bible Version:Does it Really Matter?




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