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《 エラスムスについて 》

フロイド・N・ジョーンズ博士

 デシデリウス・エラスムスは、ローマ・カトリックの聖職者の息子であり、彼自身も任職された聖職者でした。
 1510年から1514年まで、彼はケンブリッジ大学でギリシャ語を教えました。
エラスムス
《エラスムス》
 エラスムスがローマ・カトリック教徒であったとの批判がありますが、彼の時代、キリスト教界のほとんどすべてがローマ・カトリックだったのです。
 彼が生きた時代は、宗教改革の前からその開始の時期まででした。
 実際、実質的に宗教改革者(その多くは聖職者たちでした)はみなカトリック教徒でした。ですから、エラスムスがカトリック教徒であると非難することには、正統な根拠が全くないのです。
 エラスムスは教会内の不正に熱烈に抗議しました。
 彼は、儀式を強調することに対しては、質素で敬虔な生活に反しており、間違っていることであるとして反対しました。
 そして彼は、そのようなことは、一人一人の手に自国語の聖書をもたらすことによって正すことができると信じたのです。
 その結果、ローマ・カトリックから激しい反対が起こりました。
 彼はローマ・カトリックの儀式を完全に廃止させようとしたのではなく、それに本物の霊性を伴わせようとしたのです。

● 回心した後で洗礼を受けるべきこと
 宗教改革が始まり、長年にわたり新約聖書の学びと編纂を行っていく中で、彼の神学に変化がもたらされていきました。
 彼は、徐々にではありながらも、教理の面でカトリック的でなくなっていったのです。
 ただし、彼は公的にローマ・カトリックから去ることは決してありませんでした。
 そのため、多くの宗教改革者が彼に嫌疑をかけるようになりました。
 エラスムスは宗教改革者たちに加わることは決してありませんでしたが、晩年、彼の神学のうちのいくつかは、アナバプテスト派(再洗礼派)の神学に近いものとなりました。
 彼は、回心した後で洗礼を受けるべきこと、また、それを浸礼によって行うべきことを主張するようになりました。
 彼は、幼児の時に滴礼をすでに受けていた人々のために再洗礼を施すべきことも主張しました。注1
 エラスムスの神学も、彼がローマ・カトリック教徒であることも、彼のギリシャ語の聖書本文とは全く何の関係もありません。
 その聖書本文をもたらした際、彼は、ギリシャ正教の中で使われ保持されてきた写本にならっただけです。
 ですから、エラスムスがギリシャ語の聖書本文TR(テクストゥス・レセプトゥス)を自分で創り出したわけではありません。
 彼はそれを回復させたにすぎません。

《オリゲネス》
オリゲネス
オリゲネス作成の旧約聖書:「ヘクサプラ」(245年)
 第一欄=ヘブル語聖書
 第五欄=オリゲネスによる改訂版「七十人訳聖書」。外典を含む
 ほかの三つの欄=エビオン派(異端の人々によるギリシャ語訳
オリゲネス作成の「ギリシャ語新約聖書」
               
               
               
  ■エウセビウスの50冊の「聖書」(ベラム皮紙製 331年〜)
  (シナイ写本・バチカン写本)(ベラム皮紙製)
バチカン写本シナイ写本



■ヒエロニムス作成の「ラテン語ウルガタ聖書」(405年)
       (ローマ・カトリックの聖書)
              
              
              
西方教会: ヒエロニムスのラテン語ウルガタ聖書を固持

 それまでは、その本物の聖書本文は、ヨーロッパ各地で、おもにラテン語圏で保存されていました。
東方教会では、ギリシャ語のTRが標準)
 またそれは、ローマ・カトリック教会の外部で、真の信者たちの小さなグループの間でも広まっていました。
 エラスムスは、ウルガタ聖書が、最初の古ラテン語訳聖書の崩れた版であることを知っていました。
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注1)Abraham Friesen,"Erasmus,the Anabaptists,and the Great Commission",pp.21,45,50,53-54
 フリーセンはカリフォルニア大学のルネサンスおよび宗教改革の歴史学の教授。


《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》  

さらに深い理解のために(英語)
フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書
→ "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.60~[PDF]
フレデリック・ノラン博士
新約聖書の本文についての著作
An Inquiry into the Integrity of the Greek Vulgate, or Received Text of the New Testament



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