聖書の歴史 A-4 聖書の歴史 目次 

《 ヘルベチカの合意・フィラデルフィア告白 》

フロイド・N・ジョーンズ博士

[一七世紀のプロテスタント教会は、自らを定義することを余儀なくされました。
 その結果生まれたのが、聖書本文の摂理的保持の教理でした。
 すなわち、神はご自分のことばを保持されるという神の多くの約束に基づくものです。
 プロテスタントのさまざまな告白文(ウェストミンスター告白、フィラデルフィア告白など)で、聖書の保持に関する言明を含んでいるものはどれも、もともとは、聖書本文についての数々の問題や挑戦に対応して書かれました。注1
 それらの信条は、聖書本文の境界を決定するにあたり、歴史の合意(コンセンサス)に記述をもって訴えたのです。
 その二つの例が、ヘルベチカの合意フィラデルフィア告白です]

●『ヘルベチカの合意』(1675年)

 「神のことばは、信じるすべての人を救いに至らせる神の御力である。
 最高位の審判者なる神は、そのご自分のことばを、モーセ、預言者たち、および使徒たちに記述するべくゆだねられただけでなく、それが書かれた時から現在に至るまで、父としての心配りをもって、それを見守り、大切にしてこられた
 そのようにして、それが、サタンの狡猾さによっても、人間が作り出す偽物によっても、腐敗したものとなり得ないようにされたのである」


●『フィラデルフィア告白』(1742年 バプテスト派)

 「ヘブル語の旧約聖書およびギリシャ語の新約聖書は、神によってじかに霊感されたものであり、また、ただ彼のケアと摂理により、あらゆる時代に純粋なものとして保持されており、それゆえに、権威あるものである。
 それゆえ、いかなる宗教論議においても、教会は最終的にはそれらに訴えるべきである」(1646年のウェストミンスター告白から取られたもの)

 これらの告白が「権威あるもの」とみなしている本文とは、マソラのヘブル語旧約聖書と、TRのギリシャ語新約聖書でした。

●神が摂理的に介入してこられたこと
 ところで、こう尋ねる人がいるかもしれません。
 「この『摂理』とは、どういう性質のものでしょうか?
 聖書が写本として伝えられていく際、その『摂理』は実際にどのように機能したのでしょうか?」
 この「保持の教理」に含まれている、重要で不可欠な規範のいくつかは、次の通りです。注2

a 神はご自分のことばを保持されることを幾度も約束されたゆえ、私たちは、神のご人格への信仰により、神がご自分のことばを守ってこられたと信頼する。
b 旧約において、神がご自分のことばを保持するために祭司制度を用いられたように、新約の時代においても、神は、新しく生まれ変わった信者たちから成る祭司制度を通して同様に行ってこられた。
c 写本が非常に多く増やされたことにより、だれかが、意図的にせよ、怠慢によっても、それら全部を腐敗したもの(崩れたもの・改ざんされたもの)とするのは不可能なはずである。
d さまざまな分野で生活している人々が聖書をよく知っているため、言葉づかい(語法)でのどんな改ざんでも察知されたはずである。
e 学者たち(特に、ヘブル語学者)は、聖書本文の一語一語を敏感に意識していたはずである。
f ミシュナ、ゲマラ、タルムードにおける旧約聖書の読み方は、マソラ本文と完全に合致している。
g イエス様は当時のユダヤ人の多くの罪を非難されたが、彼らの聖書の写本が腐敗している(崩れている)と非難されたことは一度もなく、むしろ、彼はそれらが全く正しいことを証言された(マタイ5・17〜19)。
h ユダヤ人およびクリスチャンが互いに対して行ったチェックとバランスが、さまざまな腐敗を防いだはずである。

ギリシャ語の写本
(総数 5262)
 聖書本文の保持についての神の方法を、基本的に次のようにまとめることができるでしょう。
 すなわち、数々の写本で数多くある「共通している読み方」を、正しい読み方として受け入れなければならず、また受け入れるべきです。(B-2を参照)
 なぜなら、それらの「共通している読み方」が、何百あるいは何千もの写本の中に存在するからです。
 この「共通している読み方」が見出される理由は、聖書以外の文書を写す場合とはちがって、聖書を書き写す際は神が摂理的に介入してこられたからです。
……………………
注1)Theodore P.Letis,"The Majority Text:Essays and Reviews in Continuing Debate",p.173~
注2)John Owen,"Of the Integrity and Purity of the Hebrew and Greek Text of the Scripture",pp.356-358


《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》  

さらに深い理解のために(英語)
フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書
Which Version Is The Bible?(2010年版) p.81~,p.1~,p.170~[PDFファイル]
聖書の保持について
Bible Preservation
聖書の保持/写本について
W・マクレアン師
Rev. W. MacLean (1983)によるギリシャ語聖書本文の摂理的保持について
THE PROVIDENTIAL PRESERVATION OF THE GREEK TEXT OF THE NEW TESTAMENT



聖書の歴史   次へA-5
……

聖書の歴史 目次   聖書のホームページ  




利用規約  Copyright C. エターナル・ライフ・ミニストリーズ