聖書の歴史CX-13 聖書の歴史 目次 

《神の摂理TR

13 神の摂理継続・神が確証されたTR


 1536年にエラスムスが亡くなった後も、神はご自分の摂理をもってTRへの影響を及ぼし続けられました。
  • ステファヌスによる四版TR
  • ベザによる十版TR
  • エルゼビル版のTR
    『共通の信仰』勝利


ロベルト・ステファヌスによる四つの版TR

 神がそのことを行われた媒介者の一人は、著名なフランス人の聖書印刷発行者であり学者であったロベルト・ステファヌス(1503年〜59年)でした。
ステファヌス
《ステファヌス》
 1523年、彼は『ラテン語新約聖書』を発行しました。  また『ヘブル語聖書』も二度にわたって発行しました。  けれども、最も重要なのは、彼の四つの版TR(1546年、1549年、1550年、1551年)でした。
 これらの働きに対してローマ・カトリック教会が敵対し、それがあまりにも激しいものであったため、1550年、彼はパリを離れてジュネーブに移り住まねばならなくなりました。
 そこで彼は、一人のプロテスタントの信仰者となりました。注1
 ステファヌスの第三版と第四版の本文は、エラスムスの第五版の本文とほぼ一致していました。
 それは摂理的に任じられた(指定された)本文として、いたるところで受け入れられました。
 ステファヌスが収集していた相違する読み方どれも採用しないように彼を抑制したのが、この『共通の信仰』の影響であったことには、全く疑いの余地がありません。注2


セオドール・ベザによる十の版TR

 セオドール・ベザ(1519年〜1605年)(ジュネーブにおける、カルビンの弟子であり後継者)は、彼の十の版TRで有名な人でした。
ベザ
《ベザ》
 そのうちの九つの版は彼の生前に発行され、もう一つは彼の死後に発行されました。
 彼は新約聖書のラテン語訳でも有名です。
 それは1556年に初めて発行され、百回以上再版されました。
 ベザの本文には、ステファヌスの第四版と異なるものはめったになく、レウス(1872年)によれば、わずか38ヶ所だけです。注3
 これは、『共通の信仰』がベザの思いをしっかり捕らえていたことを示す注目すべき事実です。
 ちょうどエラスムスやカルビンの場合と同様に、ベザの場合も、彼の思いの中には、新約聖書を他のどんな本とも同じように扱おうとするヒューマニズム的な傾向と、現在ある新約聖書本文に対する『共通の信仰』との対立があったようです。
 しかし、神の摂理の中で、すべてが順調に行きました。
 神はベザのヒューマニズムを抑制し、本当の新約聖書本文をあまねく発行するよう導くべく、この『共通の信仰』摂理的にお用いになったのです。


エルゼビル版のTR『共通の信仰』勝利

 エルゼビル家はドイツ人の印刷業の家族でした。
 彼らの内で最も有名になったのは、ボナベンチャー・エルゼビルで、彼は兄弟のマシューらとともに、1608年、彼自身の印刷所を設立しました。
 1624年、彼は彼の最初の版の新約聖書(TR)を発行し、1633年に彼の第二版を発行しました。
 彼の本文はベザの版に従ったものでしたが、エラスムスの版、コンプルテンシアン聖書、およびラテン語ウルガタ聖書からの読み方も含むものでした。
 その第二版の序文の中に、『Textus Receptus』という語句が初めて表されました。

「それゆえ、あなたが手にしているのは、今やすべての人に受け入れられている本文textum ab omnibus receptum)であり、私たちがその中に何も変更や改ざんを施していないものです」注4

 この言明は、一人の印刷者の自慢か『宣伝文句』にすぎないものとして、しばしば攻撃されてきました。
 そして、確かにいくらかはそうでした。
 けれども、神の摂理の中で、それは真実の言明でもありました。
 というのも、当時、すでに、この現在ある新約聖書本文に対する『共通の信仰』が、あのヒューマニズム的傾向(それは、エラスムスにだけでなく、ルター、カルビン、ベザにもあったものです)に対して勝利を収めていたからです。
 彼らの脚注やコメントの中で表されている数々の疑問点や懸念はすでに脇に置かれ、そして、神に導きによる彼らの本文だけ保持されていました。
 このTRは、まさに、すべての人に受け入れられた本文でした。
 イギリスでは、ステファヌスの第三版のTRが、ヨーロッパの大陸部ではエルゼビルの第二版のTRが、それぞれ広く支持されました。
……………………………………………
注1)NSHE, Article, "Stephanus".
注2)Text and Canon of the New Testament, Souter - Williams, pp. 87-88.
注3)See Scrivener, Plain Introduction, vol. 2, p. 193, note 1.
注4)Article, "Elzevir", Encyclopedia Americana.

《出典 : The King James Version Defended 第八章 エドワード・F・ヒルズ著》


神が確証されたTR

 神は、ご自分が聖書に記された通り、特別な摂理により、聖書本文保持してこられました。
旧約聖書の本文については歴史D 旧約聖書の歴史』を参照)
 新約聖書の本文が印刷された形としての本文(TR)となった後、神はすばらしいことを行ってくださいました。
 それは、1994年2月19日に起きました。
(詳細は→ イエス様が確証された本当の聖書参照)
 その日、神の御子イエス・キリストがこの地上を訪れてくださいました。
 彼は一冊の聖書を手に持っておられました。
 彼は、どのような聖書を持っておられたでしょうか?
 それは、キング・ジェームズ版の聖書でした。
 イエス様が手に持っておられたこの"天国の選びの聖書"は、旧約聖書はマソラ本文から、新約聖書はTextus ReceptusTR)から英語に翻訳された聖書です。

+

 神の御子イエス・キリストご自身がマソラ本文による旧約聖書、およびTRによる新約聖書こそが、『ご自分の本当の聖書』であることを示されました。

 神は、「ご自分の摂理によって保持してこられた新約聖書本文TRである」ことを『確証』されました。

(→ 歴史E 認証された聖書参照)


さらに深い理解のために(英語)
The King James Version Defended 第八章 2h,j,kエドワード・F・ヒルズ博士著
The history of naturalistic textual criticism(自然主義の聖書本文批評学の歴史)
さらに深く学ぶためのリンク集



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