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本を書くためには、紙から始めます。 紙を半分に折ると、二つのフォリア(二葉)になります。(フォリオは「葉」を表すラテン語。フォリアは複数形) それぞれのフォリオに両面(二つのページ分)があります。 一枚の紙は、四つのページになります。 これが一帖(じょう)(クワイア)です。 シナイ写本は、いくつもの帖(クワイア)が縫い合わされ、一冊の大きな本となるように作られています。 ■キャンセル・シート もしあなたがこの本の校正者の長であり、あなたの部下の書記者が大きなミスをしたとしたら、どうなるでしょうか? こういうことです。 子どもが手を上げて、こう言います。
すると私なら、「いいですよ」と言って、新しい紙を一枚渡すでしょう。 シナイ写本を書いた人々は、明らかに、それと同様のことをしたのです。 けれども、もしそれがひどいものであった場合は、校正者の長、あるいは、『ディオーソテス(検証者)』とも呼ばれる人が別の紙を持って来て、それで差し替えました。 一枚の紙を差し替える場合、その紙は「キャンセル・シート」と呼ばれます。 ■キャンセル・シートで差し替えをした書記者 シナイ写本の新約聖書には三枚の「キャンセル・シート」が存在します! 6フォリア(3枚)であり、12ページ分に相当します。 これらの箇所で、シナイ写本の一人の書記者Aのミスを消すために、別の書記者Dがキャンセル・シートを使いました。 私たちが今関心を払っているのは、二番目の「キャンセル・シート」です。 その箇所は、マルコ14・54からルカ1・56までの部分です。 つまり、その箇所の真ん中に、マルコ16・9〜20があるはずです。 それは、もともとそこにあったのでしょうか、それとも、なかったのでしょうか? 書記者Dは、書記者Aが書いたものを取り除き、自分が書き直したキャンセル・シートで差し替えました。 なぜ、そうしたのでしょうか? ある人たちは、書記者Aはマルコ16・9〜20を書いたが、上司である書記者Dはその箇所が気に入らず、それを排除するために、自分でその箇所全体を書き直した、と考えています。 ■差し替えをした書記者D ところで、書記者Dについて、次のことをお知らせしましょう。 彼は完璧主義者です。 これ(詩篇)は美しい記述ではないでしょうか? 専門家たちが言うように、同一人物が書いたものであることは、その筆跡によってわかるのです。 こちらは彼がキャンセル・シートに書いたものです。 専門家たちによるとこうなります。(私はそれを英語に訳して述べるだけです) 彼はルカの箇所のためのスペースを測ることからスタートしています。 次に、彼はルカ1章を書いています。 ただし、彼はその数々の文字をかなり圧縮しています。 この最後のページで、彼は他のページの場合よりも、200字以上多くの文字を詰め込んでいます。 ■書記者Dのずさんな記述 彼はこれをずさんな仕方でしています。 彼は動揺していたと言うことができます。 もしかすると、プレッシャーを受けていたのかもしれません。 この最後のページのルカ1・26の箇所では、彼は、天使ガブリエルがナザレのマリアに現れたのが、ガリラヤではなく、約110キロも離れたユダヤであったと書きました。 世界中の聖書の中で、この間違いを犯している聖書はこれ以外に一つもありません。 彼は注意を払っていなかったのではないでしょうか? さらに、彼は44節からコピーして、41節に「大喜びして」という語を付け加えています。 世界中の聖書の中で、ここにこの語を加えている聖書はこれ以外に一つもありません。 ところが、書記者Dはこれを行ったのです。 書記者の目標とするところは、ただ仕事を行うことではなく、それを正しく行うことです。 ここを見てください。 一行につき、14字、15字、14字、17字、14字もあります。 彼がこれらの文字を詰め込んでいるのがわかるでしょうか? 専門家たちによると、彼はルカ1章で文字を詰め込むや、次に、マルコ15章と16章の箇所に着手しました。 その初めのある箇所で、彼は確かに、また文字を詰めました。 裏面を見てみましょう。 彼は9節から20節までを削除していることを隠そうとしたのです。 ところが、今度はスペースが多すぎました。 彼はどうするのでしょうか? 文字と文字の間の間隔(字間)を広げたのです! こうして、マルコ15・19から始まって、字間はどんどん大きくなりました。 見てください、この行には10字、この行にはわずか3字であり、それから9字、10字、10字、5字(一つの語句)、10字、11字、10字、4字…です。 おわかりでしょうか? 先の箇所とは非常に違っているではないでしょうか? それから彼は、マルコの終わりの箇所を書いて、少しのスペースを埋めました。 しかし、それでもまだ、ほぼ一つ分の欄(縦欄)が空欄でした。 この完璧主義者(書記者D)は、このようなずさんなことをしたのに、別の皮紙を手に入れて、書き直すことをしなかったのは、なぜでしょうか? 彼は急いでいたにちがいありません。(ただし、それは別のビデオで取り上げることにします) マルコ16章を含む古代ギリシャ語文書は620ありますが、二つの文書以外、すべての文書が9節から20節までを含んでいます。 その二つとは、シナイ写本と、ローマ・カトリックのバチカン写本です。 私は、シナイ写本には、もともとはマルコ16・9〜20の箇所があったのだと思います。 そして、書記者Dはたくさんミスをしましたが、時間に追われていたのです。 それを持ち出すためにです。 その結果は、ご存知の通りです。 シナイ写本が公表された後、世界中で人々は自分の聖書に欄外注を書くようになりました。 「一部の神のことばは、本当はなかったのだ」と。 悪魔が望んだのは、人々が疑いを持つことだったのです。 |
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●歴史Q 偽造された写本
1 偽造写本の"出現" 2 白いシナイ写本・ 3 だれがシナイ写本を 4 色付けされたシナイ写本 5 シナイ写本の意図的な削除 6 偽造写本『2427』の正体 7 ティッシェンドルフが持ち去った 8 ティッシェンドルフに抜き取られた 9 シナイ写本・バチカン写本_ 10 バチカン写本・シナイ写本の構成 11 外典を含むバチカン写本・シナイ写本 12 マルコ16・9〜20が無い写本 13 2写本の検証1 14 2写本の検証2 |
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聖書の歴史V 偽造写本から"ねつ造"された |
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