|
「紀元312年、コンスタンティヌスはローマ帝国の皇帝になりました。 それからしばらくして、彼は自分自身のためにも、また彼の帝国のためにもキリスト教を受容しました。 異教の宗教とキリスト教との融合をもたらそうとしていた彼が見出したのは、優劣を競う三つのタイプの聖書でした。 すなわち、後にTR(テクストゥス・レセプトゥス)となる本文によるコンスタンチノープルの聖書、パレスチナの『エウセビウス-オリゲネス版』聖書、および、エジプト版聖書でした。
特に、後にTRとなる聖書本文を主張する人々と、『エウセビウス-オリゲネス版』本文を主張する人々との間の争いは熾烈でした。後にTRとなる聖書本文の擁護者たちは、比較的質素な階級に属し、初代教会にならうことを熱心に求めている人々でした。 『エウセビウス-オリゲネス版』本文は、純粋な神のことばと、オリゲネスの思いの中にあったギリシャ哲学とが混ざった産物でした。それは、『神のことばをグノーシス主義に適合させたもの』と呼べるかもしれません。
コンスタンティヌス帝はキリスト教を受容したため、彼はそれらの数々の聖書のうちのいずれかの聖書を選択することが必要となりました。ごく自然に、彼は、『オリゲネスによって書かれ、エウセビウスによって編集されたもの』を好みました。 オリゲネスは、彼の哲学によってキリスト教をグノーシス主義と結合させた、知的に優れた人物でした。ちょうど、コンスタンティヌス自身も、異教の国家であるローマにキリスト教を結合させようとする政治的天才であったようにです。 コンスタンティヌスが好んだタイプの聖書とは、キリスト教界について彼の帝国主義的な概念の土台を与えてくれるような『読み方』のある聖書でした。 オリゲネスの哲学は、コンスタンティヌスの『宗教と政治』の神政政治に役立てるために、ぴったり適合していました。
彼は、『オリゲネス版の聖書』である『ヘクサプラ』の第五欄を編纂したばかりでした。 コンスタンティヌスはこれを選び、50冊の聖書を用意するよう要請しました」 |
→次へ P-7 |
●歴史P 聖書の改ざんの起源 1 新約聖書が前もって警告していたこと 2 第一世紀から始まっていた聖書の改ざん 3 異端がはびこっていたエジプト 4 オリゲネスによる聖書の改ざん 5 オリゲネスの『ヘクサプラ』とは? 6 ローマ皇帝が選んだ『エウセビウス-オリゲネス版』聖書 7 エウセビウスが作った50冊の聖書 8 異端アリウス派のエウセビウス 9 50冊の聖書とコンスタンティヌス帝 10 ローマ・カトリックの公式聖書…ラテン語ウルガタ聖書 |
|
ページの上へ↑ |
![]() |
聖書の歴史V 偽造写本から"ねつ造"された |
利用規約 Copyright C. エターナル・ライフ・ミニストリーズ |