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異教徒推測で満ちた日本語旧約聖書


《はじめに》
 神がモーセに法を書くよう命じられた時以来、神のことばは書き写されて伝えられてきました。
 今日まで伝えられてきた旧約聖書の基準の本文は、マソラ本文として確立されたものです。
 ところが、1906年、ドイツ人のキリスト不信者であり異教徒であるルドルフ・キッテルが、ビブリア・ヘブライカという名称の"注釈付き旧約聖書本文"を作り出しました。その注釈は、彼独自の【推測】と、異端者・異教徒らの文書、西洋・東洋の諸文書などの【諸資料】から成るものでした。

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 現代版の数々の旧約聖書は、リベラル派の人々がこのビブリア・ヘブライカを土台として編集して作り出しているため、彼らの思想や信念に合致したものとなるよう、非常に多くの変更や削除等が施されています。
 それらは、「一点一画」を重んじる神の御旨から完全にかけ離れた「改ざん聖書」にほかなりません。
 このことは、『口語訳聖書』『新改訳聖書』『共同訳聖書』『新共同訳聖書』『聖書 新改訳2017』『聖書協会 共同訳』などビブリア・ヘブライカに基づく日本語旧約聖書にも当てはまります。


《目次》
  1. 異教徒キッテル推測
  2. キッテル推測"当たり"と"ハズレ"
  3. バラバラな訳文の現代版聖書
  4. リベラル派の学者による"聖書本文の変更"
  5. 異教徒キッテル推測で満ちた日本語旧約聖書


異教徒キッテル推測

 キッテル作成のビブリア・ヘブライカには、『略語表』のページがあります。
 その中に、ラテン語の略語の説明があります。たとえば、次のようなものです。
  • "l=legendum"(こう読むべし)
  • "prb=probabiliter"(おそらく・もっともらしい
  • "frt=fortasse"(たぶん・おそらく・〜かもしれない
  • "add=addidum"(付加)
  • "dl=delendum"(削除)
ビブリア・ヘブライカ
 そして、このビブリア・ヘブライカの各ページの下段に、次のような略語の組み合わせも含めた『注釈』が、ひんぱんに書かれています。ビブリア・ヘブライカの最初の5ページ(創世記1・1〜4・9)だけでも、これだけあります。

  • "l prb"(おそらく、こう(変えて)読むべし)…創世記1・9、2・9
  • "frt"(たぶん、こうである
    こうかもしれない
    )…創世記4・8
  • "l frt"(たぶん、こう(変えて)読む
    こう読むかもしれない
    )…創世記1・21、2・4、2・17、3・16、4・4、4・7
  • "frt add"(たぶん、付加すべし)…創世記2・19、3・14、4・7
  • "frt dl"(たぶん、削除すべし)…創世記1・27、2・4
キッテル キリスト不信者

 上記のように、「たぶん…」「おそらく…」という推測の表現がここ(三つの章と9の節)だけでも14箇所も見つかります。


 下の図は、ビブリア・ヘブライカのp.5(創世記3・17〜4・9)です。このページには、「たぶん…」という表現が4箇所見つかります。


ビブリア・ヘブライカ構成


 これらはすべて、異教徒キッテル推測です!
 聖書本文の 付加・削除・変更などが、ルドルフ・キッテルを初めとするドイツ人合理主義者たちの推測や判断ひんぱんに行われたのです!


キッテル推測"当たり"と"ハズレ"

 これら多くの推測は、キッテルにとって"当たる"こともあれば、"ハズレ"となることもあるはずです。
 キッテルが「たぶん…」「おそらく…」という推測の表現を使っていることは、何を意味しているでしょうか?
 キッテルは、完全に確かなことは彼自身も知らないことを書いているのです!
 つまり、彼の推測が彼にとって"ハズレ"となる可能性があることです。
(もちろん、キッテルの推測が彼にとって"当たり"でも"ハズレ"でも、彼がヘブル語本文『一点一画』でも変えようとする行為自体が、大きな間違いであり、決してしてはいけない聖書改ざんというであることは、言うまでもありません。S4-8参照)

 こうして、キッテルにとって、以下のことがらの可能性を否定することはできません

「もしかすると、そうではないかもしれない
 もしかすると、そうするのは間違いかもしれない
 もしかすると、そのように変えて読むべきではないかもしれない
 もしかすると、付加すべきではないかもしれない
 もしかすると、削除すべきではないかもしれない
 私は、完全に確かなこと知らない
 あとは、聖書編集者・翻訳者の自己責任で判断すべし」
キッテル キリスト不信者

 キッテルは、古代ギリシャの諸宗教を熱心に信じる異教徒であり、異端者たちを受容した異端者でした!(S4-1参照)
 キッテルが用いた『諸資料』の中身は、こういうものです。(S4-4参照)
  • オリゲネスの資料
  • 異端者・異教徒らの文書
  • 西洋・東洋の諸文書…など
異端者たち


 ですから、キッテルがビブリア・ヘブライカの注釈で「推測」した箇所で、次のことが暗示されているのです。


 ヘブル語本文の中の○○という語は、オリゲネスの資料から、異教徒の私キッテル推測すると、おそらく■■に変えて読むべきである。
 もしかすると、そうするのは間違いで、そうすべきではないかもしれない
 私は、完全に確かなこと知らない
 あとは、聖書編集者・翻訳者の自己責任で判断すべし。
キッテル オリゲネス

 次に、△△という語は、占星術者で降霊術者アキラ文献から、異教徒の私キッテル推測すると、 ◆◆であるかもしれない
 もしかすると、そうするのは間違いで、そうすべきではないかもしれない
 私は、完全に確かなこと知らない
 あとは、聖書編集者・翻訳者の自己責任で判断すべし。
キッテル アキラ

 次に、エビオン派シマカスの文書から、異教徒の私キッテル推測すると、
たぶん、◆▼という語を、付加すべきである。
 もしかすると、そうするのは間違いで、そうすべきではないかもしれない
 私は、完全に確かなこと知らない
 あとは、聖書編集者・翻訳者の自己責任で判断すべし。
キッテル シマカス

 次に、グノーシス派テオドシウスの文書から、異教徒の私キッテル推測すると、
たぶん、●▲という語を削除すべきである。
 もしかすると、そうするのは間違いで、そうすべきではないかもしれない
 私は、完全に確かなこと知らない
 あとは、聖書編集者・翻訳者の自己責任で判断すべし。
キッテル テオドシウス


 このような推測箇所が、ビブリア・ヘブライカの最初の5ページ(創世記1・1〜4・9)だけでも、14箇所も見つかります。
 ビブリア・ヘブライカのp.5(創世記3・17〜4・9)だけでも、「たぶん…」という表現が4箇所見つかります。
 ビブリア・ヘブライカ全体では、何千(あるいは何万?)もの箇所に、異教徒キッテル推測が満ちているのです!


バラバラな訳文の現代版聖書

 現代版聖書の編集者・翻訳者たちは、ビブリア・ヘブライカの注釈にあるキッテルの何千(あるいは何万?)もの【推測】や【諸資料】の多くの情報を自由に取捨選択することにより、さまざまなバリエーションの訳文を作り出すことが可能です。
 その結果、ビブリア・ヘブライカに基づく数々の現代版聖書の訳文大きな相違(すなわち、バラバラな訳文)が生じています。
 たとえば、伝道者の書 8・10の箇所の訳文を比べてみましょう。

  • マソラ本文の訳は、「悪人たちが…忘れられる」です。
  • マソラ本文に基づくキング・ジェームズ版聖書(KJV)では、
    " wicked....were forgotten"とヘブル語本文の通りに訳出されています。

 ところが、ビブリア・ヘブライカに基づく現代版聖書の訳文には、大きな相違があります。
 それらは、マソラ本文の訳文やキング・ジェームズ版聖書の訳文とは正反対の意味変えられているだけでなく、現代版聖書の間でもNIVの訳文が『聖書 新改訳』『聖書協会 新共同訳』の訳文と全く異なっているのがわかります。

  • 聖書 新改訳: 「正しい行いの者が…町で忘れられる
  • 聖書協会 新共同訳: 「正しいことをした人が町で忘れ去られている
  • NIV: wicked....recieve praise (「悪人たちが…称賛を受ける」)
 黄色の下線部が、マソラ本文の訳文とも全く異なっているのがわかります。

 同じビブリア・ヘブライカから作り出された現代版聖書の間でも、これほど大きな相違が生じています。
 その原因は、上記の通りです。
多くの事例の詳細は→ 旧約聖書の改ざん参照)


リベラル派の学者による "聖書本文の変更"

 牧師であり聖書学者であるD.A.ウェイト博士は、1948年から1953年までアメリカのダラス神学校でヘブル語を学んでいました。彼の教師はメリル・F・アンガー博士であり、『アンガーによる聖書辞典』などの著者でもありました。
 その授業で彼らは、『ビブリア・ヘブライカ』のイザヤ書を読んでいました。
 D.A.ウェイト博士はこう述べています。

「アンガー博士はマソラ本文とは異なる仕方でその語を読みました。
 彼は、その変更の根拠として、その注釈にある『異読』を使ったのです。
 私は手を上げて、こう言いました。
 『アンガー博士、なぜ、この本文を変更したのですか?
 彼はこう答えました。
 『そのほうが、より良い読み方なんですよ』

 つまり、注釈にそう書かれているからなのです。
 彼らはその語を変更したいと思う時はいつでも、全く何の証拠がなくてもそうするのです。
 注釈に書かれている"L"は、ラテン語の"legendum"を表しています。
 それは、「こう(変えて)読む」を意味します。…
 事実、創世記1・9の注釈に、"L"が存在します。
 その"L"の後に、"prb"おそらくこうである)と書かれています。
 つまり、何の証拠も、何の文献もないのです。
 それはまさに、推測であり、当てずっぽう当て推量)なのです。
 聖書を信じているクリスチャンたちが、どうして、当てずっぽうや推測自分たちの聖書を決定させることができるのか、私にはわかりません。
 けれども、彼らはそれをしているのです」  
D.A.ウェイト博士著 "Defending the King James Bible", p.29〜)



異教徒キッテル推測で満ちた日本語旧約聖書

 現代版聖書の編集者・翻訳者たちは、ビブリア・ヘブライカにある多くの情報(異教徒キッテルの推測諸資料)を自由に判断して取捨選択することにより、さまざまな訳文の現代版聖書を作り出すことが可能です。
 日本語旧約聖書も、このビブリア・ヘブライカに基づいて作り出されており、異教徒キッテルの非常に多くの推測で満ちた改ざん聖書です。
 日本語旧約聖書が作り出されるまでの流れを図示すると、こうなります。


現代版聖書の流れ
(詳細は→ 旧約聖書の改ざん参照)


 異教徒キッテルの作り出したビブリア・ヘブライカは、彼の推測の"当たりハズレ"が何千(あるいは何万?)も含まれている聖書本文です。

 したがって、それから作られた日本語旧約聖書も、異教徒による推測の"当たりハズレ"が満ち満ちた改ざん聖書なのです!

 旧約聖書の真の本文であるマソラ本文に基づく日本語旧約聖書は現在見当たりません。
 聖徒の皆様には、キング・ジェームズ版聖書あるいはヘブル語原文等で確認しつつ既存の旧約聖書を読むことをお勧めします。

 次に、ビブリア・ヘブライカの『諸資料』にある"異端要素"について詳しく見てみましょう。


さらに深い理解のために(英語)
The Ben Asher text in not the Ben Chayyim text. Watch out for the Kittel family
(キッテル親子の著作に関して…ユダヤ人クリスチャンの見解)

Biblica-Hebraica-Ancient-Manuscripts.pdf(ビブリア・ヘブライカと古代文書)
Biblical Hebraica and Ancient Manuscripts | Bible Questions and Answers(ビブリア・ヘブライカと古代文書)
The Kings Bible (マソラ本文とキッテルの本文)
Biblia Hebraica 第一版 第一部(ビブリア・ヘブライカ 第一版の第一部 オンライン)
さらに深く学ぶためのリンク集



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