ルシファーについて書かれている聖書の箇所は、イザヤ14・12です。
旧約聖書の原文をはじめ、数々の翻訳聖書にあるこの箇所の記述を比較してみましょう。
●ヘブル語マソラ本文
旧約聖書の原文あるいは真の本文はヘブル語マソラ本文です。(→旧約聖書の真の本文…マソラ本文参照)
そのイザヤ14・12の箇所を直訳すると、こうなります。(『ヘーレル』はヘブル語の音読み)
「どうしてあなたは天から落ちたのか、ヘーレル、暁の子よ。…」 (イザヤ14・12 ヘブル語マソラ本文直訳)
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この『ヘーレル』というヘブル語は「輝く者、光を放つ者」を意味します。
- ヘブル語『ヘーレル』… 「輝く者、光を放つ者」の意
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そして、「神がお選びになった『ヘーレル』という語(ルシファーを表すヘブル語)は、旧約聖書のほかのどこにもなく、ただこの箇所にしかない語です」
●ラテン語ウルガタ聖書
ラテン語ウルガタ聖書(4世紀に作られ、1546年、カトリック教会の公式聖書となる)の中で、この
『ヘーレル』というヘブル語のラテン語訳として『lucifer(ルシファー)』(『光を帯びた者』を意味します)が用いられました。
ラテン語ウルガタ聖書の英語訳であるドゥアイ・リームズ聖書でも、キング・ジェームズ版聖書などの英語の聖書でも、大文字の『Lucifer』を用いて、それが普通名詞ではなく固有名詞であることを表しています。
"[12] Quomodo cecidisti de caelo, Lucifer, qui mane oriebaris? corruisti in terram, qui vulnerabas gentes? "(ラテン語ウルガタ聖書) |
●ジュネーブ聖書ほか
ジュネーブ聖書(1560年発行)などでも、『Lucifer(ヘーレル)』が使われています。
●キング・ジェームズ版聖書
1611年に刊行されたキング・ジェームズ版聖書でも、『Lucifer(ヘーレル)』が使われています。
「How art thou fallen from heaven, O Lucifer, son of the morning ! how art thou cut down to the ground,…」
(日本語訳: 「どうしてあなたは天から落ちたのか、ルシファー、暁の子よ。…」)
(イザヤ14・12, キング・ジェームズ版聖書)
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●ドゥアイ・リームズ聖書
ドゥアイ・リームズ聖書(17世紀に作られた、ラテン語ウルガタ聖書の英語訳聖書。カトリック教会の聖書)でも、ルシファーという語が使われており、さらにその『注釈』も付けられています。
[12] How art thou fallen from heaven, O Lucifer, who didst rise in the morning? how art thou fallen to the earth, that didst wound the nations?
(日本語訳: 「どうしてあなたは天から落ちたのか、ルシファー、…」) (ドゥアイ・リームズ聖書のイザヤ14・12)
【注釈】[12] "O Lucifer": O day star. All this, according to the letter, is spoken of the king of Babylon. It may also be applied, in a spiritual sense, to Lucifer the prince of devils, who was created a bright angel, but fell by pride and rebellion against God.
(【注釈】の日本語訳: 「…悪霊どもの君、ルシファー、彼は輝かしい天使として創造されたが、高慢と神への反逆により倒れた(堕落した)…」)
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こうして明らかなように、イザヤ14・12には、輝かしい天使として創造されたが、高慢と神への反逆により倒れた(堕落した)悪霊どもの君、ルシファー、すなわち、サタン(悪魔)のことが記されています。
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