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もしアメリカの憲法のコピー(写し)が完全に正確なものかどうかを確かめようとするなら、ワシントンの国立公文書館で、最初の手書きの原本と照合することが可能です。 しかし、新約聖書については、そのようなことは不可能です。パウロやペテロや、ほかの第一世紀の使徒たちが書いた原本は、すべて無くなってしまっているからです。それ以後の初期の時代に作られた、そういう原本のコピーのほとんどは、すり切れてしまったり、ローマの皇帝たちによって破壊されたりしました。 つまり、その遺物は発見されていないのです。 ● 「伝統的・多数派本文」と「少数派本文」 十九世紀に新約聖書の初期の写本が数多く発見された結果、新約聖書の原文の語法に関して、数々の疑問が生じました。それらは伝統的ギリシャ語本文[Traditional Text]とは多くの箇所で異なっていましたが、多くの学者は、それらのほうが「より古いもの」だから、原文の写本として、「より良いものである」という結論を下しました。この新たな手法により、ギリシャ語の本文は、おもに、ほんの少数の初期の写本が土台とされるようになりました。 新約聖書の数々の書の原文は、「手書き」によって繰り返しコピーされ、コピーからコピーが何世代にもわたって作られていきました。その結果、新約聖書の写本の中に、「読み方」の異なるものが多く現れるようになりました。 そういうもののいくつかは、単なるスペリング(つづり字)のちがいでした。 それよりはるかに深刻なものもありました。(注1) (1)ことば、あるいは語句の付加。 (2)ことば、語句、節、章や段落全体などの削除、などです。 さまざまな異なる読み方が存在する新約聖書のそれぞれの箇所で、どれが「原文の(最初の)読み方」であったかを突き止めるのが、本文批評家たちの仕事です。彼らはこのことを、膨大な量の写本の証拠を、非常に注意深く扱うことによって行うこととされています。
キング・ジェームズ版聖書の新約聖書、ウイリアム・ティンダルの聖書、ルターのドイツ語聖書、オリベト会のフランス語聖書、ジュネーブ聖書(英語)は、プロテスタント宗教改革の多くの自国語版の聖書とともに、1550年のステファヌスのギリシャ語本文(TR)から翻訳されました。(注2) この本文は(1624年のエルセビルの本文とともに)、ギリシャ語の聖書本文Textus Receptus(テクストゥス・レセプトゥス)、すなわち、受け入れられた本文[Received Text,TR]と呼ばれています。 これこそが、伝統的本文[Traditional Text,TT]であり、ギリシャ正教により何世紀にもわたって読まれ、保持されてきた本文です。 この本文から生まれたのが、ペシッタ(シリア語訳)聖書、イタリック聖書、ケルト教会聖書、ゴール人(フランス)聖書、ゴシック聖書、中世の福音的なワルドー派およびアルビ派の聖書、そして中世にローマによる抑圧を受けた数々の聖書です。 無情にも、多くのコピーが探し出されて滅ぼされてきましたが、この伝統的本文は、全能者によって保持されてきたのです。(注3)
● 宗教改革者たちが退けたシナイ写本・バチカン写本 この「伝統的本文」は「多数派本文」としても言及されます。 それは、約95パーセントの写本の証拠によって代表されるものだからです。(注4) これは、RV(Revised Version )聖書本文(1881年)とは全く対照的です。これは、アレクサンドリア(エジプト)タイプの本文の二つの写本(シナイ写本とバチカン写本)に大きく依存しています。 十六世紀、エラスムスも宗教改革者たちも、アレクサンドリア・タイプのバチカン写本等の読み方を知っている上で、それらを退けました。(注5)
彼らは、そういう、いかがわしい「宝物」を、「筆記者たちが自分なりの私的解釈に合わせるために本文を改ざんした産物」であるとみなしたのです。 彼らはヒエロニムスのラテン語ウルガタ聖書についても、腐敗した聖書、また、自国語聖書のためには不適切な土台として退けました。 ● 「神がお与えになった本文」とみなされてきた多数派本文 3000以上ある新約聖書のギリシャ語写本のうち、約1700の写本は十二世紀から十四世紀のものです。それらは、9世紀から11世紀の640の写本とともに、新約聖書のほぼ99パーセントの語と基本的に一致しています。
調べてわかるのは、もう一方の「多数派本文」のほうが、何世紀にもわたって主流として受け継がれてきたことです。 なぜなら、教会はこの多数派本文を、「神がお与えになった本文」とみなしてきたからです。 それは、地理的にも最も広範囲に、また、最も長い期間継続して広まっているのです。 ● 継承されず、拒絶されてきた少数派本文 「少数派本文」が教会内で広く流通したことは一度もなく、それは四世紀以降、実質的に消滅しました。 しかも、それらの本文はほとんど継承されてなく、それらの時代に拒絶されていたことを明らかにしています。 つまり、それらはコピーする価値があるとは、みなされなかったのです。 少数派の写本は多数派の写本と相違しているだけでなく、それら少数派写本同士の間でも重要な点で相違していることは、確かな事実であり、このことは、それらが本物の本文であることの信頼性を根底からくずしています。 …………………………… (注1)第一世紀から始まっていた新約聖書の改ざん (注2)新約聖書本文TRを回復させたエラスムス (注3)神が保持してこられた聖書 (注4)99%以上の写本と合致しているTR (注5) エラスムスが退けた「異なる読み方」 (注6)シナイ写本とバチカン写本の検証 外典を含むシナイ写本・バチカン写本 (注7)Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?",p106,163 |
《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 序文》
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■さらに深い理解のために(英語)… ウィルバー・N・ピッカリング博士の著書 → The Authority of the Sacred Text → The Identity of the New Testament Text III G. W. Anderson著『ギリシャ語新約聖書について今日のクリスチャンが知る必要のあること』 → what-todays-christian-needs-to-know-about-the-greek-new-testament 聖書の霊感と保持について → Inspiration and Preservation 聖書の霊感について:ジョンバーゴン,A. A. ホッジほか(J. W. Burgon, L. Gaussen, J. Urquhart, J. C. Ryle ,A. A. Hodge ) → The Divine Inspiration of the Holy Scriptures[pdf] 聖書に関わるサタンの策略などについて(David Blunt) → Which Bible Version:Does it Really Matter? |
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