●シナイ写本が19世紀の産物であって、古代の写本では全くない証拠
『バルナバの手紙』のギリシャ語本文は、1843年7月22日、スミルナ(トルコ西部の都市)で出版されました。
このことの重要点は、第一に、出版されたこのギリシャ語本文が、シナイ写本の中にある『バルナバの手紙』の本文と実質的に同一であることです。
そして第二に、1859年にティッシェンドルフがシナイ写本の中にそれが書かれているのを見出すよりも16年も前に、この本文がシモニデス氏の手中にあったことです。
さて、このギリシャ語本文をティッシェンドルフが手に入れるよりずっと前に、シモニデス氏がそれを所有していたのなら、それをシナイ写本の本文の中に書き記したのは、シモニデス氏しかあり得なかったことになります。
このことにより、シナイ写本は19世紀の産物であって、古代の写本では全くないことになるのです。
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