シナイ写本には外典の『バルナバの手紙』の本文が含まれていますが、その本文は、本質的に『現代ギリシャ語』で書かれており、後代のラテン語校訂本からギリシャ語に翻訳されたことの文法的証拠や語彙的証拠も、多く含まれています。…
それは、18世紀と19世紀に生きて活動した学者たちによって提案され、推奨された、そのラテン語本文の学術的修正にも対応しているものです。…
シナイ写本には外典の『ヘルマスの牧者』も含まれていますが、これもまた『現代ギリシャ語』で書かれており、後代のラテン語校訂本からギリシャ語に翻訳されたことの文法的証拠や語彙的証拠も、多く含まれています。…
シナイ写本の第91帖(じょう)第2リーフ(写真A)から、『バルナバの手紙』と呼ばれるものが始まっています。
(この皮紙の内容は、『ヨハネの黙示』22:19 〜 22:21と『バルナバの手紙』1:1 〜2:6 )
すでに見た通り、この文書は、シナイ写本が現代の産物であることの決定的証拠を私たちに提供しています。
すなわち、『バルナバの手紙』が現代ギリシャ語で書かれているという事実のゆえにです。
それは、「シナイ写本は古代の手書き写本である」という考えを全く台無しにしている事実です。
写真A(クリックで拡大)
|
左上部の拡大写真B
|
|
《第91帖第2リーフ表》(写真A)この皮紙の内容は、『ヨハネの黙示』22:19 〜 22:21と『バルナバの手紙』1:1 〜2:6 (クリックで大英図書館の該当ページに移動)
『ヨハネの黙示』の終わりと現代ギリシャ語の『バルナバの手紙』の始めが、同じ皮紙に書かれている。
|
ところで、古代のシナイ写本の中に、『バルナバの手紙』が19世紀に挿入された可能性はないでしょうか?
ありません。
それはあり得ません。
なぜなら、 『バルナバの手紙』は、このページ(第91帖第2リーフ表)の第二列目から始まっていて、第一列目には『ヨハネの黙示』の最後の節があるからです。(写真B)
つまり、『バルナバの手紙』は、シナイ写本という織物の中に継ぎ目なく織り込まれているのです。
そして、このギリシャ語版の『バルナバの手紙』が19世紀の産物であるなら(実際にそうです)、『ヨハネの黙示』も、それら以外のシナイ写本も、19世紀の産物なのです。
………………………………
■このページは、ビル・クーパー博士著『シナイ写本とバチカン写本の偽造』からの一部抜粋です。詳細は同書をお読みください。
|