最もよく読まれている聖書_聖書のホームページ

●アメリカのクリスチャンが読んでいる聖書についての調査

　アメリカのクリスチャンが読んでいる聖書についての、興味深い調査があります。

【1】その第一は、2014年にアメリカインディアナ州のインディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校（合併校）の調査です。
　それによると、キング・ジェームズ版の聖書（KJV）が、現在も教会での礼拝や個人的な使用で広く用いられていることが明らかにされました。
　この調査研究では、こう報告されています。

「明らかに、キング・ジェームズ版の聖書（KJV）は死滅してはいません。
　なぜなら、個人回答者たちの半数と、地域教会の五分の二（40パーセント）は、今でもこの聖書を、より好んでいるからです」

【2】第二は、2016年のアメリカバージニア州のブルーフィールド大学の調査です。
　それによると、このキング・ジェームズ版の聖書（KJV）を最もよく利用しているのは、バプテスト派、ペンテコステ派、聖公会、長老派、およびモルモン教徒であることが明らかになりました。
（ただし、これは2016年の調査でした。モルモン教には彼ら独自の別の正典があります。また、モルモン教の教職者は2009年にUBS版聖書本文の編集に加わりました。現在は、モルモン教徒の読む聖書は、それまでのKJVからUBS版の聖書に移行しているはずです。モルモン教も加わった聖書参照）

【3】第三は、2017年1月にアメリカのある調査機関が行った調査です。
　それは、「あなたが最もよく読む翻訳聖書は何ですか？」という問いに対する調査であり、その結果は次の図です。

　この調査でも、アメリカではキング・ジェームズ版の聖書（KJV）が最もよく読まれていることがわかります。
　このキング・ジェームズ版の聖書（KJV）は1611年にイギリスで初めて発行され、プロテスタントの人々に読み親しまれてきました。他方、上図の第二位以下の種々の聖書は、1881年に同じくイギリスで登場したRV英語聖書を初めとする、『現代版聖書』と呼ばれるものです。

●KJVが「最もよく読まれている聖書」である理由

　1611年に初めて発行されたKJVが、それから400年以上もたつ21世紀の現在でも「最もよく読まれている聖書」である理由は何でしょうか？
　KJVとそれ以外の『現代版聖書』との根本的な違いは、それらの土台となる聖書本文（底本）です。

キング・ジェームズ版の聖書（KJV）は、新約聖書の底本はギリシャ語のTR本文、旧約聖書の底本はヘプル語のマソラ本文です。
RV英語聖書を初めとする『現代版聖書』は、新約聖書の底本はWH本文、UBS本文、NA（ネストレ-アーラント版）本文（この三つの本文はほぼ同じです）であり、旧約聖書の底本はビブリア・ヘブライカ（BHSやBHQ）です。

　これらの底本（聖書本文）の違いこそが、決定的に重要な要素です。（詳細は後述）
　上記の図のおもだった聖書がどの底本（聖書本文）に基づいているかを付記すると、次の図のようになります。
（KJV以外の英語聖書については、新約聖書の本文のみ記載しています）

　上記の2016年の調査からわかるように、バプテスト派、ペンテコステ派、聖公会、長老派という『福音派』の人々がキング・ジェームズ版の聖書（KJV）を最もよく利用しています。

●第二位以下のリベラル聖書

　真の福音信仰者は、次のようなリベラル主義の信仰（信念）の人々が関わっている聖書を受け入れることは、当然、できないはずです。

上図の第二位のニューインターナショナル版の聖書（NIV）は1973年から発行開始された聖書であり、19世紀後半以降に登場した現代版聖書の代表格です。NIVの翻訳委員会の『文体コンサルタント』であったのは、女性同性愛者（レズビアン）のバージニア・R・モレンコットです。
　彼女はLGBTについての教授であり、「神は女性である」と信じている人です。
　このNIVの本文は、KJVの場合とは違って、UBS版本文やネストレ-アーラント版本文という全く異質の本文です。

（モレンコットの著書『オムニジェンダー』（どんな性の違いも区別せず、それらを同一のものとして扱うこと）

同じく、ESVの底本（本文）も、UBS版本文とネストレ-アーラント版本文であり、KJVの本文とは異質の本文です。
ESVには外典（旧約聖書の続編）と呼ばれるものが含まれています。
外典には、たとえば次のようなことが書かれています。

トビトはスズメの糞によって盲目にされた。
魚の心臓と肝臓を焼いて生じる煙が、悪霊どもを撃退して追い出す。
魚の胆のうが、盲目をいやす。
施し（良い行い）が、すべての罪を清める。………

『トビト書』（外典を含むバチカン写本・シナイ写本）

NKJVはKJVの新訂版では決してありません。NKJVの底本は、UBS版本文とネストレ-アーラント版本文（NA）とTR本文です。これはTR本文に忠実な聖書ではありません。これは、真の福音派の人々の信仰、すなわち、神の三位一体を信じ、イエス・キリストを神の御子、救い主として信じ、聖書を神の霊感による誤りなき神の真のことばであると信じる人々向けの聖書ではありません。
Amplified Bible（詳訳聖書）の底本は、WH本文です。そのほかの聖書と本文は、NASとNAB（NA）、NLT（UBSとNA）、RSV（UBS）などです。

　こうしてわかるのは、キング・ジェームズ版の聖書（KJV）以外のほぼすべての聖書は、KJVの本文とは異質のWH本文、UBS版本文、とネストレ-アーラント版本文（NA）のいずれかと関わりのある、あるいは、それらに基づいている聖書であることです。英語新約聖書の本文に関しては、キング・ジェームズ版の聖書（KJV）だけが純粋にTR本文に基づく聖書です。

　次に、これらの本文のおもな特徴を見ることにします。